年賀状の宛名書きが年々負担になってきたり、お正月に届く枚数が少しずつ減ってきたりしていませんか。
定年退職や子どもの独立など、暮らしに変化が出やすい60代は、長く続けてきた習慣を見直すのにちょうどよい時期でもあります。
とはいえ、若いころから毎年欠かさず年賀状をくれた相手に区切りを伝えるのは、気をつかうものです。
これまでのお礼や、これからも付き合いたい気持ちが文面から伝われば、相手も前向きに受け止めやすくなります。
この記事では、相手に気持ちよく受け取ってもらえる、60代の方向けの年賀状じまいの文例と書き方を紹介します。
60代の年賀状じまい|基本文例と節目に使える文例

はがきを前にして手が止まってしまう方は、誰に送っても差しつかえない文例をベースにしてみましょう。
ここでは、使いやすい基本の文例と、還暦や定年など、60代ならではの節目にふれた文例を紹介します。
理由を書かずに誰にでも使える文例
勤め先・子どもの学校・町内会と、重ねてきた付き合いの分だけ、年賀状の枚数が増えた方もいるのではないでしょうか。
枚数が多いと、一人ずつ書き分けるのは大変です。
相手を選ばず同じ文面で送れる文例なら、印刷でまとめて用意できて便利です。
まず、目上の方にも送りやすい改まった文例を紹介します。
謹んで新年のお慶びを申し上げます
長年にわたり あたたかい年賀状をいただき ありがとうございました
勝手ながら 来年からは皆様への年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます
今後とも変わらぬお付き合いを どうぞよろしくお願いいたします
友人や同年代の知人に送るなら、言葉をやわらげた次の文面も使いやすいです。
あけましておめでとうございます
毎年の年賀状 いつも楽しみに拝見していました
勝手ながら 今年で年賀状じまいとさせていただきます
年賀状がなくなっても ご縁はこれまでどおりです
お体に気をつけて よい一年をお過ごしください
※はがきの文例は挨拶状の慣習にならい、句読点のかわりに空白と改行で区切っています。
どちらの文例も、年賀状をやめる理由にはふれていません。
年賀状じまいに、理由は必ずしも必要ないためです。
2027年用の年賀はがきの当初発行枚数は、ピークだった2004年用の約8分の1になりました。
年賀状をやめる人が増えた今は、理由を書かなくても「どうして急に」と驚かれにくくなっています。
相手ごとにひと言添えたい方は、同じ文面で印刷し、余白に手書きで足すのがおすすめです。
たとえば、次のようなひと言です。
- また会える日を楽しみにしています
- お互い体に気をつけて元気でいましょう
- これからはLINEで連絡させてくださいね
印刷の文字だけでは事務的に見えがちな知らせも、ご自身の字が少し入るだけで、受け取る側の印象が変わります。
参考:日本郵便「2027(令和9)年用年賀はがきの券種一覧」
日本郵便「平成16年用の年賀はがき及び年賀切手の発行」
還暦・定年など節目に使える文例
年賀状じまいの理由に「高齢のため」と書くのは、60代ではまだ少し早いかもしれません。
「終活」という言葉も身近になる年代ですが、「終活のため」と書くと、受け取った相手に体調を心配させてしまうこともあります。
理由を添えたい場合は、ご自身の節目にふれると前向きな報告として書けます。
次の文例は、基本文例で紹介した「勝手ながら」で始まる一文と差し替えて使える形です。
- 昨年 定年を迎えました これを機に年賀状でのご挨拶は今年を一区切りとさせていただきます
- 還暦を過ぎ 暮らしを少しずつ身軽にしております 年賀状もその1つとして 本年をもちまして卒業することにいたしました
- 長く勤めた会社を退職し 仕事でいただく年賀状も少なくなりました これを機に 今年で年賀状じまいとさせていただきます
ほかにも、「子どもたちもそれぞれ独立しました」「住み替えをしました」など、節目に合わせて書き換えられます。
【相手別】60代の年賀状じまい|関係性に合わせた文例

学生時代の友人・昔からお世話になっている親戚・かつての上司。60代ともなると、住所録には付き合いの長さも深さも異なる名前が並んでいることが多いものです。
同じ知らせでも、相手によって言葉の選び方を変えていきましょう。
友人や親戚には、はがきの余白に手書きで添えるひと言を、仕事関係の方にはそのまま使える全文を用意しました。
友人への文例
子どもが小さいころから家族写真を送り合ってきた友人とは、年に一度の年賀状が近況を知る大切な手段だったかもしれません。
だからこそ、はがきのやり取りが終わっても付き合い続けたい友人には、今後どうつながりたいかを短く伝えましょう。
LINE・メール・電話番号など、ふだん使っている連絡先を書き添えておけば、相手も連絡しやすいです。
友人あてには、「理由を書かずに誰にでも使える文例」で紹介した、言葉をやわらげた文面が合います。
印刷した文面に一筆加えるなら、付き合い方に合わせて次のような言葉があります。
【年賀状だけのやり取りが長い友人の場合】
- 年に一度の年賀状で 元気にしているのがわかってうれしかったです
- 近くに来ることがあったら 気軽に連絡してね
- 退職して時間ができたので 今年こそ会いに行きたいと思っています
- 遅ればせながらLINEを始めました 写真など送り合えたらうれしいです
【ふだんから連絡を取り合っている友人の場合】
- これまでどおりLINEで気軽におしゃべりしましょう
- 仕事も落ち着いたので これからは顔を見て話しましょう
- 毎年の家族写真 楽しみにしていました 今度会ったときに見せてね
友人へはいつもの口調のまま、前向きなひと言を添えてみましょう。
年賀状じまいの知らせも重くならず、これからも付き合いが続くことを感じてもらいやすいです。
親戚への文例
親の代から続いてきた親戚との年賀状は、自分の代でやめてしまってよいのか迷うところです。
気にかけたいのは、やめることそのものより、どんな言葉で伝えるかです。
法事やお盆に顔を合わせる親戚なら、次に会う機会にふれることで、今後もよい関係でいたい気持ちが伝わります。
LINEやメールを使わない年上の親戚には、電話で連絡したいと書き添えれば、これからもつながりが続くことが相手にもわかります。
以下は親戚あてに書き添えるひと言の例です。
- 家族ともどもお世話になり 毎年の年賀状を楽しみにしておりました
- 勝手ながら 年賀状は今年で一区切りとし 折を見てお電話でご様子をうかがえたらうれしいです
- 親戚の集まりでお会いできる日を楽しみにしております どうぞお体を大切にお過ごしください
しばらく会っていない親戚には、「毎年欠かさずお便りをくださり 心から感謝しております」のように、お礼だけ添える形でもかまいません。
仕事関係の人への文例
かつての上司や取引先の方には、在職中のお礼を先に書きます。
退職して何年もたつと、年に一度のはがきだけでつながっている相手も出てくるものです。
いきなり本題に入ると、用件だけを伝える事務連絡のように読めてしまいます。
上司や仕事関係の方へは、まとめて印刷する方もいるため、全文の文例を紹介します。
謹んで新春のお慶びを申し上げます
在職中は格別のご厚情をいただき 心より御礼申し上げます
おかげさまで 退職後も元気に過ごしております
誠に勝手ながら 本年をもちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただくことにいたしました
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます
仕事関係の方は退職後の様子を気にかけてくださっている場合もあるため、近況を短く添えると喜ばれることがあります。
「元気に過ごしております」の前に「地域の活動に参加しながら」「孫の成長を見守りながら」などを加えると、相手も様子を思い浮かべやすくなります。
年賀状じまいで失礼にならない伝え方

「来年から出さない」という結論だけの文面は、冷たい印象を与えることがあります。
ここでは、失礼にならないために気をつけたい4つのポイントを紹介します。
これまでの感謝を伝える
年賀状じまいを伝えるときは、あわせてこれまでのお礼も書くのが基本です。
「毎年あたたかい年賀状をありがとうございました」といった短い言葉でも十分ですが、親しい方には手書きでひと言添えてみてください。
「ご家族のお写真を毎年楽しみにしておりました」のような言葉なら、長年の感謝も伝わります。
何を書くか迷ったら、しまってある古い年賀状を何枚か取り出して、その方とのやり取りを思い返してみましょう。
全員に控えることを伝える
受け取った方のなかには、「年賀状が来なくなるのは自分だけ?」と気にする方もいるかもしれません。
誤解を避けるためにも、全員に出さないことがわかる言葉を入れておきましょう。
「年賀状じまい」と書くだけでも伝わることはありますが、「どなた様にも」と添えれば、全員に向けた知らせだとはっきりします。
「どなた様にも年賀状でのご挨拶を控えることといたしました」なら、目上の方にも失礼なく使えます。
今後も付き合いたい気持ちを添える
文末には今後のつながりを感じさせる一文を添えます。
「今後とも変わらぬお付き合いをお願いいたします」といった定型文でも問題ありません。
意識したいのは、ご自身が無理なく続けられる付き合いの方法を選ぶことです。
ふだん電話をしない相手には「お電話します」ではなく、「いつかお会いできる日を楽しみにしております」と伝えるほうが無理がありません。
縁起のよくない言葉を避ける
年賀状では、縁起のよくない「忌み言葉」を避けるのが一般的なマナーです。
年賀状じまいの文面でも同様に配慮しておけば、年配の方や恩師にも安心して送れます。
具体的には、以下の点に注意します。
- 「去年」は「昨年」「旧年」と言い換える
- 「去る」「失う」「衰える」「枯れる」「倒れる」などの言葉は使わない
- 目上の方には「賀正」「迎春」を避け、「謹賀新年」「謹んで新年のお慶びを申し上げます」とする
年賀状じまいの理由を書く際も表現に工夫が必要です。
たとえば「体力が衰えたため」という文面には、忌み言葉が含まれます。
「やめます」「終わりにします」などの直接的な言葉も避けるのが無難です。
「ご挨拶を控えさせていただきます」「一区切りとさせていただきます」と言い換えることで丁寧な印象になります。
年賀状じまいはいつ・どう伝える?

年賀状じまいは、年賀状はもちろん、寒中見舞い・直接の会話・LINEやメールでも伝えられます。
それぞれのメリットや、相手に合わせた使い分けを見ていきましょう。
年賀状で伝える
年賀状だけのお付き合いになっている相手にも、知らせやすい方法です。
はがきとして手元に残るため、前年の年賀状を見ながら宛名を書く方には、見返してもらいやすい点もメリットです。
年賀状じまいを知らずに、翌年も相手が年賀状を出してしまう行き違いも防ぎやすくなります。
寒中見舞いで伝える
年賀状は出さず、年賀状をくださった方への返事として、寒中見舞いで伝える方法です。
相手から届いた分だけ返せるため、年末の慌ただしい時期に年賀状を用意する手間が省けます。
寒中見舞いは、松の内が明けてから立春(2月4日ごろ)を迎える前までに出します。
松の内は関東で1月7日、関西で1月15日までと地域で違うため、迷うときは1月16日以降に届くように出しておきましょう。
文面は、年賀状へのお礼や季節の挨拶に続いて、年賀状じまいの一文を添えます。
寒中お見舞い申し上げます
年始にはお心のこもった年賀状をいただき ありがとうございました
ご挨拶が遅れましたことをお詫びいたします
勝手ながら 本年より皆様への年賀状でのご挨拶を控えさせていただくことにいたしました
今後とも変わらぬお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます
寒さ厳しき折 どうぞご自愛ください
年賀状じまいを知らせたあとも、翌年また年賀状が届くことがあります。
その場合も、寒中見舞いなどでお礼を伝えてもかまいません。
参考:日本郵便「寒中見舞いとはどんな風習?由来や意味、送る際のマナーなどを解説」
直接会ったときに伝える
よく会う友人や近所に住むきょうだいなら、会ったときに口頭で伝えることもできます。
「年末は忙しいから年賀状じまいをすることにしたよ」のように、はがきほどかしこまらずに伝えられるのも会って話すよさです。
相手も同じことを考えていたなら、「お互い、これで一区切りにしましょう」と話がまとまることもあります。
相手が年賀状を準備する前の、11月から12月上旬ごろに伝えておくと親切です。
LINEやメールで伝える
LINEやメールは、日ごろから連絡を取り合っている相手に気軽に知らせられる方法です。
友人なら、「年賀状じまいをすることにしました。お正月はLINEで挨拶させてね」といつもどおりの言葉で伝えられます。
年上の知人や、少し距離のある相手には、以下のような丁寧な文面がおすすめです。
私事で恐縮ですが、来年から年賀状でのご挨拶を控えさせていただくことにしました。
長年、心のこもった年賀状をありがとうございました。
今後はこちらでご連絡できれば幸いです。
送ったあとに返事が届けば、そのまま近況のやり取りにつなげられるのも、LINEやメールならではのよさです。
ただし、LINEやメールで連絡を取っていない相手に年賀状じまいの知らせだけを急に送ると、唐突に感じられることもあります。
年賀状だけでのやり取りが続いている相手には、年賀状や寒中見舞いで伝えるほうが向いています。
60代の年賀状じまいでよくある質問

最後に、60代の方が年賀状じまいの知らせを出す前に気になりやすいことをまとめました。
年賀状じまいは相手を不愉快にさせませんか?
伝え方によっては「関係を切られた」と受け取られることもあります。
マイナビニュースは2025年、会員300人を対象に、年賀状じまいについての意識調査をおこないました。
「年賀状じまいが送られてきたら不愉快に感じますか」という質問では86%が「いいえ」と答えています。
「はい」と答えた人の回答には、次のような内容がありました。
- 一方的に関係を切られたようで冷たく感じる
- 年賀状だけが唯一のつながりだった
- 絶縁を告げられたように感じる
こうした誤解を防ぐためにも、文面には次の3つを入れておきましょう。
- これまでの感謝
- 全員に控えていることがわかる言葉
- これからも付き合いたい気持ち
年賀状が唯一の連絡手段になっている相手には、今後の連絡方法も書き添えておくことをおすすめします。
参考:マイナビニュース「年賀状じまい」は不愉快? 受け取る側の本音調査で見えた意外な結果
年賀状じまいをすると寂しくなりませんか?
何十年と続けてきた年賀状をやめると、寂しさを感じる方もいます。
とくに年賀状だけで近況を知っていた相手とは、つながりが途切れたように感じることもあるかもしれません。
完全にやめると決めきれない場合は、「しばらくお休みする」と伝える方法があります。
次の文例は、やめるのではなく、休むことを伝える形です。
- もうしばらく仕事を続けることになり 年末が慌ただしいため 当面の間 年賀状は失礼させていただきます
- おかげさまで家族みな元気にしております 年末を少しのんびり過ごしてみたくなり 来年からしばらくの間 年賀状をお休みすることにしました
「しばらく」「当面の間」という言葉を入れておけば、また書きたくなったときにも再開しやすくなります。
一度休んでから、恩師や親しい友人など、送りたい相手にだけ年賀状を再開するのも1つの方法です。
喪中の年に年賀状じまいを伝えてもいいですか?
喪中はがきに年賀状じまいを書き添えることはできますが、あくまで喪中のお知らせが中心です。
60代になると親を見送る機会も増え、年賀状じまいを考えていた年と重なることもあります。
年賀状じまいも一緒に伝えたい場合は、喪中の挨拶と故人についての知らせを先に書き、最後に次のような一文を添えます。
なお 勝手ながら 今後はどなた様にも年賀状でのご挨拶を控えさせていただくことにいたしました
長年にわたり あたたかい年賀状をいただき ありがとうございました
より丁寧にしたい場合は、喪中はがきを欠礼の知らせだけにとどめ、寒中見舞いや翌年の年賀状で伝えましょう。
60代の年賀状じまいは、今後の付き合い方に合う文例を選ぼう

年賀状じまいは、長年のやり取りにあらためてお礼を伝え、これからの付き合い方を自分で選べる前向きな区切りです。
付き合いを続けたい相手にも、年賀状のやり取りを区切りにしたい相手にも、感謝を込めた文面なら気持ちよく伝わります。
相手との関係に合わせて、しっくりくる一文を選んでみてください。
年賀状じまいは、60代の方がこれからの暮らしを身軽に整えていくための、よいきっかけともいえます。
ご自身の持ち物を整理しはじめると、長年気になっていた家のなかの物だけでなく、「実家の片付け」や「親の持ち物の整理」にも目が向くようになる方も少なくありません。
ご自身のこれからの暮らしを身軽にするためだけでなく、親御さんが元気なうちに住まいを整えておくことも今後の安心につながります。
まずは遺品整理と生前整理の違いや、親へスムーズに切り出すコツを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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