実家の相続や親の介護などで、空き家をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
空き家を放置しておくと、建物の老朽化が進んだり、防犯上のリスクが高まったりと、さまざまな問題が発生する可能性があります。
しかし、空き家の片付けには費用がかかるため、なかなか着手できないという方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、空き家片付けにかかる費用相場や、活用できる補助金制度・片付け業者の選び方まで、わかりやすく解説します。
補助金制度を活用すれば、費用を抑えながら空き家問題をスムーズに解決できます。
ぜひこの記事を参考に、空き家の片付けを検討してみてください。
- 実家の相続や親の介護などで空き家を所有している方
- 空き家を片付けたいが、費用や手続きについて不安がある方
- 空き家を活用したいが、どのように進めるべきか悩んでいる方
- 空き家の管理や売却を検討している方
- 空き家片付けにかかる費用相場を把握できる
- 空き家片付けに利用できる補助金制度の情報が得られる
- 信頼できる空き家片付け業者の選び方がわかる
- 空き家を放置するリスクや適切な管理方法を学べる
- 空き家の活用や売却方法について具体的な方向性が見つかる
1. 空き家片付けにかかる費用相場と内訳
空き家の片付け費用は、家の広さや状態によって大きく異なります。
・不用品が多い
・ゴミ屋敷化している
・庭の手入れが必要 など
状況によって必要な作業内容や人手が変わるためです。
ここでは、一般的な費用相場とその内訳について詳しく解説します。
1-1. 家の広さ別|空き家片付け費用相場
家の広さ(延床面積)が大きいほど、片付け費用も高くなる傾向にあります。
目安としては、以下の表を参考にしてください。
広さ | 費用相場 |
---|---|
ワンルーム | 5~15万円 |
1LDK~2DK | 10~30万円 |
3LDK~4LDK | 20~60万円 |
5LDK以上 | 50万円以上 |
※上記はあくまで目安であり、家の状態や作業内容によって費用は変動します。
1-2. 家の状態別|空き家片付け費用相場
家の状態によっても費用は大きく変わります。
- 一般的な状態
- 家具や生活用品が残っている程度の状態であれば、上記の広さ別の費用相場を参考にできます。
- ゴミ屋敷化している
- 大量のゴミが散乱し、整理整頓が困難な状態の場合、特殊清掃が必要となり費用は高くなります。3LDKの場合で30~100万円程度が相場です。
- 遺品整理が必要
- 遺品整理をともなう場合は、遺品の量や種類、仕分け作業の有無によって費用が変わります。一般的には、片付け費用にプラス10~30万円程度かかることが多いです。
- 庭の手入れが必要
- 庭木の手入れや草刈り、不用品の処分などが発生する場合は、別途費用がかかります。
1-3. 費用を抑えるためのポイント
少しでも費用を抑えたい場合は、以下のポイントを参考にしてみてください。
- 不用品を自分で処分する
- まだ使える家具や家電はリサイクルショップに売却したり、自治体の粗大ゴミ回収を利用したりすることで、処分費用を抑えられます。
- 複数の業者から見積もりを取る
- 複数の業者に見積もりを依頼し、料金やサービス内容を比較検討することで、最適な業者を選べます。
- 自分でできる部分は自分でおこなう
- 家具の移動や簡単な清掃など、自分でできる部分は自分でおこなうことで、業者の作業量を減らし、費用を抑えられます。
空き家の片付け費用は決して安くはありません。
事前に費用相場や内訳を把握し、計画的に進めることが大切です。
次の章では、空き家片付けに活用できる補助金制度について詳しく解説します。
2. 空き家片付けに活用できる補助金制度
空き家片付けに関する補助金制度は、国や地方自治体が提供しており、空き家の片付けや管理にかかる費用を軽減するために利用できます。
以下に、代表的な補助金制度を紹介します。
2-1. 国の補助金制度
(1) 空き家再生等推進事業(除却タイプ)
国土交通省が実施する事業で、老朽化が進んだ空き家の除却費用の一部を補助します。
- 対象地域
- 空家等対策計画に定められた区域、地域住宅計画や都市再生整備計画に定められた区域など
- 対象施設
- 不良住宅・空き家住宅・空き建築物
- 助成対象費用
- 除却工事費・所有者の特定費用・実態把握費用など
- 補助額
- 除却工事費と損失補償費の合計額の8/10(上限あり)
詳しくは、国土交通省 空き家再生等推進事業についてを確認してください。
(2) 空き家再生等推進事業(活用タイプ)
空き家を地域活性化に資する施設として活用するための改修費用などを補助します。
- 対象地域
- 空家等対策計画に定められた区域、産炭地域や過疎地域など
- 対象施設
- 将来も従来の用途に供される見込みのない、空き家住宅や空き建築物
- 事業内容
- 滞在体験施設・交流施設・体験学習施設などへの改修
- 助成対象費用
- 取得費・移転費・増築・改築費、所有者の特定費用や実態把握費用など
詳しくは、国土交通省 空き家再生等推進事業についてをご覧ください。
(3) 住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業
空き家を住宅確保要配慮者(低所得者・高齢者・障害者など)向けの賃貸住宅として改修する費用を補助します。
- 対象者
- 賃貸住宅の所有者
- 事業内容
- バリアフリー化・耐震改修・シェアハウスへの改修など
- 助成対象費用
- 改修費用
詳しくは、一般財団法人 住宅保証支援機構 住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業の最新情報をご確認ください。
2-2. 地方自治体の補助金制度
(1) 横浜市|空家の改修等補助金(地域貢献[簡易改修]型)
地域活性化に貢献する施設(子育て支援施設・高齢者支援施設・コワーキングスペース等)への改修費用を補助します。
- 対象者: 自治会町内会、NPO団体、事業者など
- 補助金額: 補助対象経費の1/2(上限100万円)
【参考】横浜市 空家の改修等補助金(地域貢献[簡易改修]型)
(2) 横浜市|住宅除却補助制度
老朽化が進んだ空き家の除却費用を補助します。
- 対象者: 空き家の所有者
- 補助金額: 20万円~40万円(条件により異なる)
【参考】横浜市 住宅除却補助制度
(3) 東京都|空き家利活用等区市町村支援事業(老朽空き家除却等)
空き家利活用等区市町村支援事業は、東京都が区市町村の空き家対策を支援する制度です。
大きく分けて「基本型」と「企画提案型」の2つの支援タイプがあります。
1. 基本型
事業内容 | 概要 |
---|---|
空き家実態調査 | 空き家の状況を把握するための調査 |
空家等対策計画の作成又は改定 | 空き家対策に関する計画の作成や見直し |
地域活性化施設への改修 | 空き家を地域活性化に役立つ施設に改修 |
東京ささエール住宅への改修 | 空き家を子育て世帯等向けの賃貸住宅に改修 |
公的跡地活用を目的とした老朽空き家又は不良住宅の除却等及び跡地整備 | 公共施設の用地確保のための除却や跡地整備 |
老朽空き家又は不良住宅の除却等及び跡地整備 | 老朽化が著しい空き家の除却や跡地整備 |
空き家相談体制整備 | 空き家に関する相談窓口の設置や運営 |
管理不全空き家等への対応 | 放置された空き家への対応 |
移住・定住に係る空き家対策 | 移住・定住促進のための空き家活用 |
空き家の発生抑制・普及啓発 | 空き家の発生を抑制するための啓発活動 |
2. 企画提案型
- 地域の特性を踏まえ独自に企画して実施する事業への補助
【参考】東京都住宅政策本部 | 東京都 | 空き家情報サイト | 区市町村に対する支援
つまり、空き家問題を抱える区市町村が、さまざまな方法で空き家対策に取り組むことを支援する制度です。
「基本型」では、上記表のように具体的な事業内容が定められていますが「企画提案型」では、地域の特性に合わせて、より柔軟な対策を実施することができます。
その他にも、多くの地方自治体で独自の補助金制度を設けています。
お住まいの地域の自治体ホームページで確認してみましょう。
2-3. 補助金申請の流れと注意点
補助金制度を利用する場合は、以下の流れで申請をおこないます。
- 自治体への相談
- 対象となる補助金制度や申請方法について、自治体の窓口に相談しましょう。
- 申請書類の作成・提出
- 必要書類を揃えて、期限内に申請書類を提出します。
- 審査
- 自治体による審査がおこなわれます。
- 交付決定
- 審査に通れば、補助金の交付が決定されます。
- 事業の実施・完了報告
- 補助金交付決定後に事業を実施し、完了後に報告をおこないます。
- 補助金交付
- 完了報告後、補助金が交付されます。
【注意点】
- 補助金制度の種類や内容は、地域や年度によって異なる場合があります。
- 申請には期限があるので、早めに確認し、余裕を持って手続きをおこないましょう。
補助金制度を有効活用することで、空き家問題の解決をスムーズに進めることができます。
積極的に情報収集をおこない、最適な制度を利用しましょう。
次に、空き家片付け業者の選び方について解説します。
3. 空き家片付け業者の選び方
空き家片付けを業者に依頼する際は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
悪徳業者に依頼してしまうと、高額な費用を請求されたり、適切な処理がおこなわれなかったりする可能性があります。
ここでは、信頼できる空き家片付け業者を選ぶためのポイントを解説します。
3-1. 見積もりを複数社から取る
複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討しましょう。
見積もりは無料でおこなってくれる業者がほとんどです。
内訳が明確で、不明点があれば丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
3-2. 資格や許可の有無を確認する
一般廃棄物収集運搬業許可や遺品整理士などの資格を取得している業者の方が、安心して任せられます。
また、古物商許可を取得している業者であれば、買取可能な品物を適正に査定してくれる可能性があります。
3-3. 口コミや評判を参考にする
インターネットの口コミサイトや、実際に利用した人の声を参考にしましょう。
料金の妥当性、作業の丁寧さ、対応の良さなどを確認できます。
その他にも、以下の点に注意しましょう。
- 契約内容をしっかり確認する
- 作業内容・料金・支払い方法・キャンセル規定などを書面で確認し、不明点があれば質問しましょう。
- 訪問見積もりを依頼する
- 電話やメールだけの見積もりではなく、実際に現地を訪問して見積もりを作成してくれる業者の方が安心です。
- 追加料金の有無を確認する
- 作業後に追加料金が発生する可能性がある場合は、事前に確認しておきましょう。
信頼できる業者を選ぶことで、安心して空き家片付けを進めることができます。
複数の業者を比較検討し、納得のいく業者を選びましょう。
4. 空き家管理の重要性と方法
空き家を放置すると、さまざまなリスクが発生する可能性があります。
適切な管理をおこなうことで、これらのリスクを回避し、建物の資産価値を維持することができます。
4-1. 空き家を放置するリスク
空き家を放置することには、さまざまなリスクがともないます。以下に主なリスクを挙げます。
- 建物の老朽化
- 雨漏りやシロアリ被害などにより、建物が劣化し、倒壊の危険性も高まります。
- 犯罪の発生
- 不法侵入や放火などの犯罪に利用される可能性があります。
- 近隣トラブル
- 雑草の繁茂や悪臭・害虫の発生などにより、近隣住民に迷惑をかける可能性があります。
- 資産価値の低下
- 老朽化や近隣トラブルにより、売却価格が下がってしまう可能性があります。
これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
4-2. 効果的な空き家管理の方法
空き家を安全かつ資産価値を維持するために、以下のような管理方法があります。
- 定期的な清掃
- 埃やゴミを掃除し、清潔な状態を保ちましょう。
- 通風
- 定期的に窓を開けて換気し、湿気やカビの発生を防ぎましょう。
- 防犯対策
- 鍵の交換や防犯カメラの設置など、防犯対策を強化しましょう。
- 庭木の管理
- 伸びすぎた枝を剪定し、近隣に迷惑がかからないようにしましょう。
- 郵便物の確認
- 郵便物が溜まっていると、空き家だと認識されやすくなるため、定期的に確認しましょう。
これらの管理方法を実践することで、空き家のリスクを最小限に抑え、建物や資産価値を守れるでしょう。
4-3. 空き家管理サービスの活用
自分で管理するのが難しい場合は、空き家管理サービスの利用を検討しましょう。
これらのサービスでは、定期的な巡回や清掃・通風・郵便物の転送などをおこなってくれます。
空き家の適切な管理は、建物の維持だけでなく、近隣との良好な関係を保つためにも重要です。
放置することなく、定期的な管理をおこないましょう。
ここまで、空き家の管理方法について解説してきました。
しかし、将来的に空き家の活用や売却を検討している方もいるのではないでしょうか。
そこで次は、空き家の活用方法と売却について詳しく解説します。
5. 空き家の活用方法と売却
「空き家をそのままにしておくのはもったいない」と、お考えの方もいらっしゃるでしょう。
空き家を活用することで、収益を得たり、地域貢献につなげたりすることも可能です。
ここでは、代表的な活用方法と売却について詳しく解説します。
5-1. 賃貸経営による収益化
空き家を賃貸物件として貸し出すことで、安定した家賃収入を得られます。
近年では、単身者向けのアパートや、高齢者向けのシェアハウスなど、ニーズに合わせた賃貸経営が注目されています。
メリット
- 長期的な収入源を確保できる
- 空き家の維持管理費用を家賃収入で賄える可能性がある
- リフォームによっては、建物の資産価値向上にもつながる
デメリット
- 入居者募集や管理の手間がかかる
- 空室リスクがある
- リフォーム費用など、初期投資が必要な場合がある
5-2. 空き家の売却
売却は、まとまった資金を得られる方法です。
特に、立地条件の良い空き家は高値で売れる可能性があります。
売却資金を他の投資に回したり、生活資金にあてたりすることができます。
メリット
- 一括でまとまった資金を得られる
- 将来的な管理の手間や費用がかからない
デメリット
- 売却までに時間がかかる場合がある
- 売却価格が希望額に届かない可能性がある
- 譲渡所得税などの税金が発生する
5-3. リフォームによる資産価値向上
古くなった空き家をリフォームすることで、建物の価値を高め、売却価格を上げたり、賃貸需要を高めたりすることができます。
耐震性を強化したり、バリアフリー化したりすることで、より多くの人にとって魅力的な物件になります。
メリット
- 売却価格や賃貸価格を上げられる
- 将来的に自分が住むことも検討できる
デメリット
- リフォーム費用がかかる
- リフォーム内容によっては、希望通りの効果が得られない場合がある
さらに、これらの活用方法を検討する際には、各自治体が提供する補助金制度の活用も検討してみましょう。
リフォームや除却に対する補助金制度を利用することで、初期費用を抑え、より効果的に空き家問題に対処できる可能性があります。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。
ご自身の状況や希望に合わせて、最適な方法を選択しましょう。
まとめ
空き家問題は、放置しておくとさまざまなリスクを引き起こす可能性があります。
しかし、片付けや活用には費用がかかるため、なかなか行動に移せないという方も多いでしょう。
今回は、空き家片付けにかかる費用相場や、活用できる補助金制度・片付け業者の選び方・管理方法、そして活用方法と売却について詳しく解説しました。
補助金制度を活用することで、費用を抑えながら空き家問題を解決できる可能性があります。
ぜひ、お住まいの地域の自治体で利用できる補助金制度を調べてみましょう。
空き家は適切な方法で対処することで、地域活性化や資産価値向上にもつながります。
本記事を参考に、空き家問題の解決に向けて、最初の一歩を踏み出してみてください。
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