不用品回収業者のニーズが高まったことで乱立するようになりつつありますが、たびたび悪質な業者が逮捕されています。
先日も、不用品回収業者の代表と従業員3名が逮捕されました。
今回は、悪質業者の逮捕を受けて、利用者の方が安心して依頼できる不用品回収業者の見極め方について、問題になっている「一般廃棄物収集運搬許可」の許諾問題にも触れながら解説していきます。
東京・八王子の不用品回収業者が逮捕されました
2023年6月8日(木)に、東京都多摩地域などで一般家庭から無許可で不用品を収集したとして、東京都八王子市に会社を構える不用品回収業者の代表と従業員が逮捕されました。
事件が発覚したのは不用品回収業者を利用した消費者が警察に相談したのがきっかけで、ベッドや洗濯機などの家具や家電製品を回収した際に、自治体回収費用の約42倍の料金を利用者に請求していました。
逮捕された不用品回収業者の代表は、「ごみの回収ではなく、売れるものを回収していた」と供述していて、「あくまで古物商許可の範囲だ」と主張していますが、一緒に逮捕された従業員は容疑を認めています。
【参照】TBS NEWS DIG
今回の事件を受けて弊社が思うこと
不用品回収業者を利用してごみを処分したい利用者は、さまざまな事情ですぐに処分したい、あるいは大きい・重たい不用品をご自身で搬出できないなど、不用品回収業者のサービスを必要としている方々です。
利用者の方は少なくても「困っている」のに対して、今回の件では悪意をもって“ぼったくり行為”をしたわけです。
不用品回収業では、不用品の数ではなく容量で料金を設定することがほとんどです。
相場で言うと、軽トラック満杯の不用品を処分して約10,000円〜が相場ですが、明確な料金が定まっていないのもトラブルの原因になっています。
今回の事件は許されることではなく、一生懸命お客様・利用者様と向き合っている不用品回収業の方や、生前整理・遺品整理、ごみ屋敷のお片付けなどのサービスを提供する他の会社の信用問題にもかかわる話になってきます。
東京都の消費生活総合センターには、昨年度までの5年間で不用品回収業者との料金トラブルの相談が2,410件あったとも報じられていて、これは異常なことです。
【参照】独立行政法人国民生活センター
暴力が許されないのと同じで、だますことで誰かを傷つけることも同様に許されることではありません。
同業者として、憤りを感じる一方で「かなしい」というのが本音です。
今回の事件は決して他人事ではありません
今回の事件で焦点になるのが、「一般廃棄物収集運搬許可」という自治体の許認可を得ていたかどうかです。
簡単に説明すると、「一般のご家庭から出るごみを回収して運ぶなら、自治体の許可を得ましょう」というのが、一般廃棄物収集運搬許可。
この許可を得ずに不用品を回収してしまうと、違法行為になってしまいます。
それぞれの「許可」については次の項目で解説しますが、許可を得ていない不用品回収業者はモラルに欠ける行為をすることがあります。
例えばぼったくり行為の他に、回収した不用品の不法投棄などもトラブルになっています。
ごみ屋敷のお片付けや生前整理・遺品整理などで不用品回収業者を利用する方が増えているので、今回の件は決して他人事ではありません。
不用品回収業者に必要な「許可」とは?
先ほどから繰り返し「一般廃棄物収集運搬許可を得ていなければ違法ですよ」と繰り返していますが、この他にも不用品回収業者が受ける必要がある許認可があります。
ここからは、不用品回収業者に依頼するときに確認しておきたい3つの許認可について解説していきます。
1.不用品の買取に必要「古物商許可」
多くの不用品回収業者が、「不用品の買取サービス」を実施していますが、「自分以外の第三者が使用していたものを買取する」には古物商許可が必要です。
この古物商許可は、営業所がある地域の警察署が管轄になっています。
申請して審査を受ければ認可が下りるので、比較的取得しやすい許認可です。
【参照】NTT東日本
2.法人からの不用品回収に必要「産業廃棄物収集運搬許可」
簡単に説明すると、「事業を行う際に出るごみの回収や運搬をしてもいいですよ」という許認可です。
営業所がある都道府県知事の許可が必要で、さまざまな条件を満たす必要があります。
【参照】e-reverse.com
3.一般家庭からの不用品回収に必要「一般廃棄物収集運搬許可」
「一般のご家庭から出るごみの回収と運搬をしてもいいですよ」という許認可で、市区町村ごとに許可を得る必要があります。
しかし現状、新規で申請しても許認可を得ることはほぼ不可能と言われています。
そのため、無許可で不用品の回収を行う業者が後を絶ちません。
なぜ一般廃棄物収集運搬許可を得られないのかというと、公共事業の利権や、信頼できない業者の管理ができないなどさまざまな事情があります。
既に現状の許認可を与えている業者で、十分市区町村内のごみを収集できているという現状もあるでしょう。
「じゃあ、一般廃棄物収集運搬許可の許認可が下りないなら、不用品回収業者自体が違法なんじゃないの?」と感じた方が多いと思いますが、実はそうではないんですね。
自治体だけではなく、一般の方も気軽に利用できるように不用品回収業者は必要な存在です。
「不用品をトラックに積んで処理場などに運ぶ」という許認可が必要な業務を、一般廃棄物収集運搬許可を得た業者に代行してもらえば、法律を守ることができます。
弊社の場合も同様で、自社のスタッフが不用品の整理や仕分け、分別、ご自宅からの搬出を行って、実際に不用品をトラックに載せて処理場まで運ぶのを一般廃棄物収集運搬許可の認可を得た別会社に依頼しております。
ごみの分別ルール、そして法令で定められた許認可問題のすべてをクリアしているので、行政からもご依頼いただいております。
【参照】一般社団法人日本リサイクル業IT支援協会 リユース・リサイクル情報局
悪質で怪しい不用回収業者を選ばないための見極め方
悪質業者の逮捕から、「なんだか不用品回収業者って怪しい」と感じてしまう方が多いと思いますが、悪質な業者が目に付くだけで、健全な不用品回収業者も多く存在しています。
ここからは安全な不用品回収業者の見極め方を4つご紹介いたします。
保有資格・許可などを明記している
会社概要のページに許認可の情報について記載しているところが多いので、不用品回収業者を選ぶ時は、サービスや料金だけではなく会社情報についてもチェックしましょう。
上記の画像は弊社の場合ですが、古物商許可を得ているということと、一般廃棄物は許可業者に依頼していることを明記しております。
1社だけではなく複数の会社のサービスや料金を比較する
1社だけ見積もりを請求してしまうと、どうしてもその会社のサービスや料金しか知ることができません。
不用品回収業者は料金が会社によって異なる他に、階段の有無や、リサイクル品の有無、買取品の有無などさまざまな要件で見積もり額が変動します。
だからこそ、少なくとも2〜3社程度に見積もりを依頼して、サービスや料金を比較しましょう。
そして、比較するときはご自身だけで決めるのではなく、家族や親族と相談しながら決めると、より冷静に判断することができるようになります。
作業前にサービスや作業内容・料金を確認できる
見積もりによる書面だけではなく、作業する前に「このようなサービスを、このような作業で提供します。だから料金はこの価格になります」というように、ちゃんと説明してくれる会社に依頼しましょう。
そして、もしあなたが納得できなければ断れることを伝えてくれる会社を選ぶことが大切です。
無理に契約を迫って、作業を強行する会社には絶対に依頼してはいけません。
回収した不用品の「次」を考えている
回収した不用品のなかにはまだ使えるものや、大切に使われていたもの、思い出の品などを、さまざまな事情で手放さなければならなくなったというケースも珍しくありません。
買取サービスを実施している不用品会社であれば、買取することができますが、買取できない品であればリユースやリサイクルという選択肢もあります。
例えば弊社であれば、海外で必要としてくれる方々へ輸出しているので、「不用品の次の姿」を考えております。
まとめ
今回の事件は、消費者・利用者だけではなく業界にも大きな影響を与えています。
悪質な業者が悪目立ちする一方で、真摯(しんし)に消費者・利用者の方と向き合っている優良な会社も多いので、ぜひ今回ご紹介した見極め方を参考にしながら、依頼する会社を決めるようにしましょう。
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